2023年6月27日、学林における世界宗教の講義の一環として、インドネシア・ウラマー評議会諮問委員会ディン・シャムスディン議長との対話が行われました。シャムスディン師は、世界第2のムスリム教団ムハマディア会長、アジア宗教者平和会議(ACRP)実務議長、世界宗教者平和会議(WCRP)国際共同会長などを歴任。イスラームの現代的解釈に基づき、紛争和解、平和構築などに従事してきた世界で活躍するイスラーム最高指導者です。
イスラームの信仰実践、思想、現代的課題への応答などについて、杉野学林学長をコーディネーターとして対話が行われました。ディンシャムスディン師は、仏教の「僧伽」に当たるイスラームの「ウンマ」は、世界のムスリムの同胞との連帯を超えて、諸宗教対話の国際的イニシアチブである”The Document on Human Fraternity “(人類の友愛に関する宣言)に顕現された人類全体に広がる概念であると述べられました。大乗仏教における僧伽概念の拡大と比較できる流れとして、国際的な諸宗教対話・協力の基礎を与えるものであることが語られました。また、2015年にインドネシアのジョグジャカルタで、世界のムスリムと仏教指導者によって採択された「ジョグジャカルタ宣言―共通の価値とコミットメント」に触れ、仏教とイスラームは対話を重ね、共有の価値に対する認識を深め、共に平和を脅かす諸問題の解決のために協働することの重要性を述べられました。