2023年1月20日に学林青梅キャンパスにて、学林蓮澍・海潮音科の「卒林研究発表会」を開催。バングラデシュ教会出身の蓮澍・海潮音科29期生2人が2年間の学びと誓願を発表しました。
アタシ・タルクダーさんは、『バングラデシュにおける女性の地位に関する上座部・大乗仏教比較分析』と題して提言。立正佼成会に入会して大乗仏教に触れ、全ての人が救われるという教えに感動し、もっと学びたいと学林に入林した経緯を語った。その上で、バングラデシュでは女性の地位が低く、「信教の自由の欠如」「男女間の不平等」「教育における男女格差」などさまざまな課題が山積していると指摘。「誰でも仏になれる」と信じて学林で学びを重ねる中で、平等をもたらすには教えを家庭から、特に女性が学び実践する重要さを痛感したと話し、帰国後は上座部、大乗仏教の垣根を超えた在家仏教徒、一般の方々を対象にしたセミナーや研修を行っていきたいと誓願した。
バルア・ショウロブさんは、『バングラデシュにおける多数派・少数派関係の現状と協働を通した諸宗教教育の必要性』をテーマに発表。イスラム教徒がマジョリティーのダッカで生まれ育つなかで、仏教徒とイスラム教徒が互いに他の宗教を学ぶ機会がないという学校教育の課題を指摘。2015年に自身も宗教青年の一人として参加したWCRPによる「ハンドウォッシュプロジェクト」について触れ、真の宗教間理解には、知識とともに実践が大事であると考察した。その上で、異なる宗教を生きる青年を集め、環境問題や紛争解決などさまざまな地球規模の課題に具体的に行動するプロジェクトを立ち上げたいと語った。
杉野学長は、蓮澍・海潮音科生が学林生活を通して「四諦(したい)の法門」への理解を深め、さらにそれを活用して自国が抱える問題、世界の課題に果敢に取り組む姿勢を示してくれたとたたえ、「2人の発表は庭野開祖が学林創設に込めた『実践的仏教』『宗教協力』との精神を体現したものでした。これから国に帰り、現実の苦難にぶつかっても、学びを支えに、それぞれの使命に向かって進んでいってほしい」と激励しました。