学林の使命とビジョン
1964年(昭和39年)1月、庭野日敬開祖は実践的仏教教育機関として「学林」創設を発表されます。「青年の人たちが、もっともっと視野を広くし、スケールの大きな理想を持ってもらいたい」、「世界平和実現のためには、わが教団、わが宗教などという狭い枠の中でうごめいているのではなく、お互いが理解し合い、手を取り合って、人類全体の幸福のために力を結集しなければならない」と喝破されました。創設者庭野日敬師の言葉は、「実践的仏教」と「宗教協力」という学林と学林生に与えられた使命を国内外に高らかに示すものでした。 初代学長庭野日鑛師は、学林が目指す仏教・法華経に基づく全人教育の根幹として、仏性を磨く、すなわち、感性、知性、品性を磨くことの重要性を示されました。感性とは、人のやさしさ、ものの美しさ、神秘、不思議を感じる心。知性とは、宇宙、生命、人間の構造を把握すること。そして、品性とは、自分を人に示したいという自己顕示欲、独善性をなくし、謙虚になることであると教示されました。
仏教・法華経の実践的研鑽、思想・哲学・宗教を含めた世界を代表する諸先生方からの講義、実習、研修、法座、専門研究、多国籍・多世代共生の寮生活など、さまざまな習学と実践を通して、自己を見つめ、真の自己に目覚め、社会、国家、世界に貢献しうる実践的仏教徒としての力を身につけることが学林教育の核心です。学林における全人教育は、Personal Transformation(自己の変革創造)、Societal Transformation(社会の変革創造)、Global Transformation(世界の変革創造)が融合され、同時に深められた「菩薩道の先駆者」を目指しています。人々の苦しみ、悲しみに寄り添い、仏の智慧の光を澍ぎ、生きる希望と勇気を与え、ともに社会を変革創造し、世界平和に貢献しうるリーダーとなる道であります。
学林を志し、学林に学ぶ青年の皆さん、今こそ2600年に及ぶ世界宗教としての仏教の歴史の最先端に立ち、未来から吹く風を感じながら、「Tradition(伝統)」を「Tradition-ing (現在進行形)」し、人々に希望と勇気を与え、世を救い、世界の未来を創造する、菩薩道の先駆者としての人生を、誇り高く歩んでいこうではありませんか。
学長の紹介
学林学長 杉野恭一
Rev. Kyoichi Sugino
President, Gakurin Seminary
ニューヨーク、ジュネーブなどを拠点として、約30年にわたる紛争和解・諸宗教外交活動を経て、2021年12月1日に5代目学林学長に就任。 国連難民高等弁務官事務所ジュネーブ本部政策研究官、WCRP(RfP)ニューヨーク国際事務局事務次長を経て、2011年11月モロッコのマラケシュで開催されたWCRP国際執行委員会で第3代WCRP国際副事務総長に任命される。紛争地域を含めた世界90カ国の諸宗教評議会を統括、紛争和解、平和構築活動に従事。米国国務省市民社会との戦略対話―宗教と外交部会員、スリランカ国際有識者会議メンバーなど、各国政府、国連機関などの諮問機関委員を歴任。中央大学法学部法律学科、学林予科(光澍)11期、本科(大樹)26期、研究科、米国ウィスコンシン州立大学法科大学院修士課程卒、国際法専攻。