令和5年次「学林入林式」が4月2日、庭野日鑛会長臨席のもと法輪閣大ホール(東京・杉並区)で執り行われた。学林大樹60期生、光澍大学科49期生、光澍高校科18期生、芳澍30期生、ロータス16期生、17期生を含む140名が参加した。
式典では、大樹生をはじめ、各科の代表生が「誓いの言葉」を力強く発表した。杉野恭一学林学長の訓話に続き、ルーテル世界連盟(LWF)名誉議長で、「ヨルダン及び聖地福音ルーテル教会」(ELCHHL)名誉監督を務めるムニブ・A・ユナン師(世界宗教者平和会議=WCRP/RfP=国際委員会名誉会長)が、入林生に映像を通じて祝辞を寄せた。同師は第34回庭野平和賞受賞者であり、WCRP/RfPを通じて庭野会長、杉野学長とも懇意にしていることから、昨年10月に学林生に対して特別講義を行った。今回の祝辞は、こうした縁によって実現したもの。
祝辞の中で、ユナン師は入林生へのアドバイスとして四点を挙げた。その一つ目として、学ぶ姿勢について言及。旧約聖書の箴言(しんげん)「主を畏(おそ)れることは知恵の初めであり、聖なるものを知ることは洞察力である」を引用し、「勉強することを恐れず、そこにある膨大な知識を恐れないことです」と語り、多くのことを学ぶ大切さを強調した。
続いて、学林生としての役割・使命に触れて、一人ひとりが「なぜ学林に入ったのか」「学林を縁として何を学ぶのか」について熟考していく大切さを強調。加えて、各人がテーマを持ち、「世界に向けてどのような貢献ができるか」ということを、たとえ小さくても形にしていく重要性を述べた。
アドバイスの三つ目にユナン師は、他宗教を学び、理解することの大切さについて触れた。「他宗教への理解が、正義や平和、犠牲の愛、共生、自由といった諸宗教に共通する価値を見つけることにつながる」と前置きした後、「そうした共通の価値は、戦争もなく、流血もなく、占領もない世界の実現をもたらします」と話した上で、学林生にもそのための重要な使命があるとの考えを示した。
最後に、本尊への礼拝など儀式的な祈りを行うだけでなく、日常生活の中に祈りがあるべきとして、「瞑想(めいそう)したり、考えたり、『私の進むべき道を示してください』と、神仏と対話する時間をつくってください」と激励した。
教団代表の國富敬二理事長のあいさつに続き、庭野会長が登壇。「絶えず熱中する、不思議と感じたことを追求し、そして感激して、どんどん進んでいくということは大事なことだと思います」と、学ぶ姿勢を説いた後、「世界平和といった遠大なテーマを追求するためには、とても道草なんて食っていられない、無駄話などできないという気持ちで臨んで頂きたい」と、入林生に期待を寄せた。
学林入林式 祝辞
エルサレム主教 ムニーブ・ユナン
立正佼成会会長の庭野日鑛先生、私の親友で、世界の宗教間対話のリーダーの一人である(学林)学長の杉野恭一先生、ご参列の皆さま、新入生の皆さんに、まずはエルサレムからご挨拶を申し上げます。そして、紛争が多く、占領下にあるこの国において、正義と和解に基づく平和、赦しの上に築かれた平和のために祈っていただきたいのです。
学林で学ぶという新たな冒険を始めた、新入生の皆さんの入林をまずは祝福したいと思います。同時に、私は学林と良好な協力関係を築き、共にこの世界の真理のために働くことができることを本当に嬉しく思っています。エルサレムから、私はあなたに4つのアドバイスをしたいと思います。
ソロモン王は(『旧約聖書』の)「箴言」の中で次のように言っています。「主を畏れることは知恵の初めであり、聖なるものを知ることは洞察力である」。ですから、私が最初に伝えたい大事なことは次のことです。聖なるものの泉を飲み、できる限り多くのことを学んでください。すべての石を回すことを恐れてはなりません。勉強することを恐れず、そこにある膨大な知識を恐れないことです。(聖なるものの泉を)飲めば飲むほど、神が私たちの世界に存在していることがわかるのです。
2つ目のポイントは、勉強するときに頭を使い、特に2つのことについて批判的な考えを持つことです。1つは、なぜ神様は私を選ばれたのか?なぜ神様は私を学林で学ぶように選ばれたのでしょうか?その理由を見つけなければなりません。なぜあなたは受け入れられたのか?親が望んだからとか、他に勉強するものがなかったからというだけではだめです。理由を見つけなければなりません。なぜ神様があなたを学林で学ぶように選んだのでしょうか。2つ目に、神様はあなたに将来、この世界にどのようなメッセージを植え付けることを望んでおられるのでしょうか。私たち一人一人が世界に向けたメッセージを持ち、証しを持ち、何かを持っているのです。神の目から見て、誰も大きな存在ではありません。私たちは皆小さく、誰もが小さな石ですが、大きな建物を築くのに貢献できるのです。だから、心配しないでください。なぜ神はあなたを選ばれたのでしょうか?
3つ目に、学林で勉強するときは、他の宗教を理解するために諸宗教の学びに集中してください。そして、正義、平和、犠牲の愛、共生、自由という共通の価値を見つけてください。諸宗教に共通する価値は、今よりも、より良い世界、すなわち、戦争もなく、流血もなく、植民地主義もなく、占領もない世界を実現するためにどのように役立つのでしょうか。(諸宗教に共通する価値があれば)どの国もその価値とともに、生きていくことができます。私たちには諸宗教対話・協力によって、その価値をもたらしていく重要な使命があります。時にはそれを感じないこともありますが大切なことです。
そして、新入生に贈る4つ目のアドバイスは、「祈り」です。知識も良いですが、祈りはより良いものです。天を開き、あなたに神の意志が示されるからです。祈りは儀式的なものだけでなく、日常的な祈りであるべきです。瞑想したり、考えたり、「私の人生の進むべき道を示してください」と神様と対話する時間、神様のための時間を作ってください。
これら4つが皆さんへの私からのアドバイスです。最も重要なのは祈りです。なぜなら、祈りは神が私たちに語りかけてくれるからです。私たちが言葉で神に語りかけるだけではありません。これらのアドバイスとともに、学林に入林した皆さんを祝福したいと思います。同時に、私が日本に参りましたら、皆さんにお会いしたいと願っております。皆さんに神の御心と祝福を!学林に祝福を!会長先生、学長、スタッフ、そしてあなた方一人一人に祝福を!皆さんがこの世界において、正義と平和と共生の生きた証人となりますように。